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「情報改革で人々を幸せに」ソフトバンクの次代を担うAI&データ推進部の使命

“情報革命”を軸に、スマートフォンや携帯電話、インターネットやロボットなど、多様なサービスを展開するソフトバンク。新たな事業領域として挑戦を始めたのが、技術力と膨大な保有データを駆使したAI&データ領域です。既存の事業で得た知見を武器にしたソフトバンクのあらたな挑戦について、AI&データ推進部 部長の千葉が語ります。

次世代のソフトバンクを支えるビジネスを創出するAI&データ推進部

2018年5月。東京・丸の内エリアで、ある実証実験がはじまりました。

それは、ソフトバンクと三菱地所、富士通、そして東京大学大学院工学系研究科の大澤研究室が協力し合い、ビッグデータを活用した新しい街づくりを目指すというもの。

この実験では、三菱地所が保有するビルの設備稼働データや商業施設関連データなどと、ソフトバンクグループが保有する人の流れに関するデータなどを、富士通独自のデータ流通・利活用基盤を用いて流通させて共有し、その後、ソフトバンクのプラットフォームなどを活用してこれらのデータを組み合わせて分析を行います。それぞれの企業や組織が持つ知見を活用しながら、産学連携、かつ業種も超えた新業態の考案やサービスの創出を目指しています。

例えば、オフィスビルの電力使用量データとビル周辺の人流データという、一見無関係に思えるデータを組み合わせることで、「ある時間帯には人通りは多いがお店に立ち寄る人の数が少ない」「○曜日の○時頃は、比較的年齢層の高い人が周辺に多い」といった情報を得ることができます。そして、その情報をもとに、効果的な販促施策を立案するなど、新しいサービスのアイデアを得ることが可能になるのです。

業種を超えたデータ活用で新たな街づくりを目指す実証実験を東京・丸の内エリアで開始

この活動の中でソフトバンクを代表し、その音頭を取ったのが、AI&データ推進部です。
AI&データ推進部の発足に関して、部長を務める千葉芳紀はこう語ります。

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千葉「ソフトバンクと言えば、携帯電話や通信の会社というイメージが強いと思います。しかし、実際は携帯電話などの事業を通して得られるさまざまなデータを保有しているということも、当社ならではの強みのひとつです。

また、数年前から社内向けにAIやデータの活用を始めており、それに必要な開発も行ってきました。この2つを組み合わせて、新しいビジネスを立ち上げようというのがAI&データ推進部で、今年で3年目になります。特に最近は、次代のソフトバンクの事業の第2、第3の柱にしていこうという動きが活発になっています。」
AI&データ事業部は、この他にも広島県と協力し「ひろしまサンドボックス推進協議会」にも参画しています。
千葉「ひろしまサンドボックスでは、我々が提供する、地域にまつわるさまざまなデータの連携基盤を活用することで、新たなサービスを提供したい会社などが適切な情報を適切なタイミングで入手できるようになります。それにより、観光事業がより活発になったり、働き方改革を推進できたり、さまざまな可能性を見出すことができるでしょう。『いろいろなジャンルの事業者の皆さまが、より動きやすい環境をつくる』のが役割と言えますね」

AI&データ事業部は、AIとデータを活用することによって人々の生活をより豊かなものにすることを使命とした、次世代のソフトバンクを代表する部署と言えるでしょう。

プレスリリース:「ひろしまサンドボックス推進協議会」に参画し、AI・IoT実証プラットフォームの構築を支援

最大の武器は、これまで築き上げてきた技術力と文化

ソフトバンクのAI&データ推進部には、3つの強みが挙げられます。

1つ目が、エンジニアリング力。社内にAIエンジニアやデータサイエンティスト、データエンジニアといったプロフェッショナルが多数いるだけではなく、さまざまなグループ企業が持つソリューションを組み合わせながら、活用していくことができます。この可能性の幅、裾野の広さは、ソフトバンクだからこそ実現できるものです。

2つ目が、ビッグデータを保有しているということ。統計化された流動人口データなど、ソフトバンクがこれまでの事業の中で積み上げてきたさまざまなデータを活用することで、他ではできない分析や予測を立てることができるようになります。

そして3つ目が、「社内で使い倒す」という文化。例えばiPhoneが日本で初めて発売された2008年、「自分たちで使い倒し、その魅力を理解しなければ、お客さまに良い提案をすることはできない」という考えのもと、社員全員にiPhoneが配布されました。

新しいツールやサービスができると、すぐにそれを社内で使い倒し、より質の高いものへブラッシュアップしていく。こうした文化がしっかりと根付いているのも、ソフトバンクならではの強みです。

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千葉 「ソフトバンクとしてお客さまにご提供する前に、社内で試作品を使い倒した例で言えば『社サポ Brain』があります。これは、日々社員からの膨大な数の質問に追われる総務や情報システム担当者の負担軽減のためにつくられた、 AIによる自動チャットシステムです。現在のソフトバンクの HP でユーザーからの質問を受けつけているチャットボットは、この社サポ Brainも含め、いくつかの機能を社内で使い倒した末に生まれたものです。
また近年では、ドローンを活用した新しい事業の開発にも積極的に取り組んでいます。
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千葉「ソフトバンクの通信を支える、鉄塔の基地局が日本全国に立っているのですが、鉄塔の錆や経年劣化などがないか定期的にチェックしなければなりません。しかし、それらをすべて人力でやろうとすると大変な時間と労力が掛かってしまいます。そこで目をつけたのがドローンです。ドローンが撮影した画像データをAIで分析し、錆とその程度を自動で見つけ出し、点検作業に活用します。新しい技術を積極的に使い、かつそれらの今後の可能性を拡げていくのも、ソフトバンクの使命と言えるかもしれません」

プレスリリース:ドローンによる社会インフラの保全サービスを2019年春から提供

高い技術力と独自に保有するビッグデータ、そしてそれらを自分たちで使いこなし、人々が本当に喜ぶサービスへと磨き上げることが文化として根付いていること。これこそ、ソフトバンクの強みです。

世の中の課題を見つけ出し、解決の糸口を探す

AI&データ推進部の仕事を一言で表現するならば、「ユーザーとエンジニアをつなぐこと」と千葉は語ります。

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千葉「ユーザーには2種類あり、ひとつがソフトバンクとお取引をさせていただいている企業さま、つまり社外のユーザーです。そしてもうひとつが、ソフトバンクの人事や経理、営業やマーケティングといった社内のユーザー。このユーザーとエンジニアの間には得てして深い溝があり、共通言語や共通認識が意外と違ってしまっていたりもするものです。

例えば、AIの精度についてお話ししましょう。ユーザーがAIに求める精度は、その業務の性質によって多種多様です。100%に近い精度でないと使えないのか、あるいは80%の精度でも効果があるのか。ユーザーの業務も含めた総合的な判断が必要となります。

このプロセスを丁寧に進めておかないと、お互いの前提にズレが出てしまい、結果的に『期待にそぐわない』ということが起きてしまう懸念があります。

この溝を埋め、ユーザーが求めている本質をしっかりとエンジニアに伝え、またエンジニアが開発したものの活用方法をしっかりとユーザーに落としていく。それがAI&データ推進部の主な役割です」

部内には主な職種として、「コンサルタント」「企画・プロダクトマネージャー」「プロジェクトマネージャー」の3つの職種があり、それぞれが互いに連携を取りながら、業務を進めています。
千葉「この仕事をするにあたり、AIやデータに関する知識、プロジェクトマネジメントの経験などは大いに生かせる要素ではありますが、それ以上に総合的なビジネス力が必要になってくると思います。例えばみずほ銀行さまとソフトバンクが共同出資してつくったJ.Scoreという会社があります。これはお互いが持つ強みを組み合わせ、AI技術を活用した信用スコアによるレンディングサービスというまったく新しいビジネスをつくり出した例のひとつです。ビジネスや市場を多角的に捉えたからこそ成し遂げられたのだと思います。

お客さまが抱える課題、市場が抱える課題、社会が抱える課題をしっかりと理解した上で、どうすればそれらを解決できるか。自分自身で解決できなくとも、誰なら解決できるかを考えることができる。そういったビッグ・ビジョンが求められますね 」

AI&データ推進部の仕事は、直接人と市場に触れあっていく仕事です。
こうした仕事を担う組織をつくる上で、千葉には心掛けていることがありました。

メンバーそれぞれの個性を伸ばし、情報革命で人々を幸せにする

千葉が心がけていること。それは、「色のない組織をつくること」です。

千葉「例えば『精鋭ぞろいの営業部隊』『先進的なエンジニア集団』というような組織の色ができてしまうと、どうしてもその色に合わないメンバーが出てきてしまったり、考え方や行動の幅も狭まったりする可能性があります。我々は新しい発想で、新しい価値を創造していく集団ですので、一人ひとりのメンバーが自分たちの個性を生かしながら、自由に活躍していける組織を目指しています。幸いにもソフトバンクでは、グループ会社も含め、多くのAI企業との交流が可能であり、そこから得られる豊富なデータやソリューションを活用すれば、いくらでもボトムアップでの取り組みが可能です。

その場その場で最適な色を、自ら生み出していけるような組織を目指していきたいと思っています」

世の中を取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあるからこそ、特定の色に染まることなく、自由な発想で物事の本質を捉えていかなければなりません。

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千葉「私たちがやろうとしていることの多くは、まだ誰も見たことがないものを生み出し、今ある常識を劇的に塗り替えるようなことです。実際、ソフトバンク自身も通信事業から始まり、AIを始めとしたさまざまな事業を展開し、その業態の幅や種類を変えてきました。こうした変化を求める際に、短期的な売上や利益率といった数字はもちろん重要ですが、それだけではなく、さまざまな可能性に対するチャレンジも必要だと考えています。

少しでもチャンスがあるものであればまずはチャレンジしてみる。それでダメだったら、また次のチャンスを探す。というように、早いサイクルで判断を回していける組織にしたいと思っています」

その思いは、ソフトバンクが掲げる経営理念「情報革命で人々を幸せに」にも通じています。
千葉「当部署が目指す情報革命とは、AI技術やデータ技術を進化・活用させることですが、それによって得られる新たな可能性には二つの種類があると思います。ひとつは、世の中をより便利で快適なものにするということ。そしてもうひとつが、これまで必要だった作業や仕事から解放され、自由な時間が増えるということです。

新しく生まれた自由な時間で新しいことに挑戦するも良し、家族との時間を大切にするも良し。こうした心の豊かさがより良い社会をつくっていくための原動力になるのではないでしょうか」

AI&データ推進部の挑戦は始まったばかりです。情報革命で人々の幸せを生み出すために、私たちはこれからも走り続けます。

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